画用液は絵具に添加して画面に特殊な効果をもたらす事が出来ます。
一切画用液を使わずに描く作家もいますので、あまりコレに頼りすぎるのはどうかと思いますが、正直無いと困る時もあります。メーカーからは色々製品が出てますが、ここでは私が持っているものを紹介。

マスキング液

■白抜き、または着色した色を保護したい時に。


白抜き用の液体。筆や爪楊枝で塗った後 乾かすとゴム状になり上から塗った絵具をはじいてくれる。 最後にラバー等で剥がす。ホルベイン、W&N製が使いやすい。
マスキング液はすぐゴム状になってしまうので筆を石けん水に付けながら描くと固まりにくい。
こちらはホルベイン製。左が筆無しで塗れるスティックタイプで淡いピンク、携帯用にも良い。中央が瓶タイプ、淡いブルー。右は筆が固まってしまったときのクリーナー。


■シュミンケのチューブタイプ


小皿にとればもちろん筆でも塗れます。
水に溶けやすいのでこまめに洗えば筆も固まりにくい
アンモニアを使ってない下地に優しいタイプ。


パーマネント・マスキングメディウム

■はがせません


マスキング液が後から剥がすのに対し、こちらは絵具と混ぜて先に塗ってしまうタイプ。色を付けて細部を描くのに適しています。但し1度塗ってしまうと耐水性になってしまうので後から色を重ねる事は不可。計画性が要求される
現在は瓶のデザインは変わっている様です。


オックスゴール

■はじかない〈界面活性剤〉


「水彩絵具の紙へのなじみを良くし、ムラのない均一な面を 塗るのに効果的」とメーカーの説明にあるが、私は水ハジキ の強いパレットに垂らして使ったりする事が多い。サイジングの強い紙にも効果あり


ウォーターカラーメディウム

■色合いを深める


絵具の色延びを高め、色合いを深める(アラビアゴムと酢酸が主材)・・だそうだが滅多に使った事はない。
乾燥が遅くなるので、ぼかしを多用する時は有効。必ず水で溶いて使用する。
酸が含まれているのでウルトラマリンなど酸に弱い絵具には使わない。


アラビアゴム メディウム

■透明度を高める


アラビアゴムは透明水彩絵具の溶剤。
1.顔料と練り合わせて絵具を自作するためのもの
2.水彩絵具に混ぜると透明度が高まり、深い色調になる。
3.使いすぎると画面にツヤが残る。
4.ガッシュ・ポスターカラー(不透明水彩)と練り合わせると透明水彩調になる。


1の絵具の自作はあまり現実的ではないのでこの際除外。
2~4を検証
上段左:透明水彩絵具のパーマネントマゼンタを通常通り水で溶いたもの
上段右:同じくパーマネントマゼンタとアラビアゴムを1:1で混ぜ水で溶いたもの
下段左:ガッシュのヴァイオレットを通常通り水で溶いたもの
下段右:ガッシュとアラビアゴムを1:1で混ぜ、さらに水で薄く溶いたもの



画面では分かりづらいですが、透明水彩絵具に1:1で混ぜた上段右のもの
びっくりするぐらいツヤが出ます。グロスを塗った様な感じ
まるで乾いてない様な印象さえあります。1:1の混合はアラビアゴムの比率が
多すぎるのだと思いますが、上手に使えば面白い効果が出せそう。
一方、ガッシュの方は不透明なので乾くとのっぺらな印象ですが、
アラビアゴムを混ぜて水で溶くと確かに透明水彩の様になります。
但し、ガッシュは粒子が粗いので粒状化が起こります。
これも意図的にその様な効果をねらえば使えそう

マルチサイジング

■どうさ液・にじみ止め


水彩紙は基本的ににじみ止めの処理(サイジング加工)してありますが、それ以外の紙に塗布することで、絵具の吸い込みを抑えてにじみにくくすることが出来、発色も良くなります。


その他

私は使いませんが、その他の画用液


◆アラビアゴムペースト・・・水彩絵具にタッチを与えたり、未乾燥の絵具同士が混ざり合うのを防ぐペースト

◆イリデッセントメディウム・・・水彩絵具にぱーるの様な輝きと光沢をあたえるメディウム

◆リフティング・プリパレーション・・・リフティングとは1度塗って乾燥した絵具を水筆やスポンジで除去する事。これを先に塗っておくとステイン系の染みつきやすい絵具をでも容易に色抜き出来るらしい。

◆グラニュレーションメディウム・・・粒子の細かい紙に染みつきやすい絵具に粒状化のような効果を出すための画用液。粗めの紙ほど効果がある。

◆テクスチュアメディウム・・・細かい粒子が含まれており、砂浜や樹皮の描写にいいそうな

◆ブレンディングメディウム・・・絵具の乾きを遅らせて、混色に必要な時間をかせぐ


コート剤(作品の保護)

■色褪せ、カビを防ぐ


描き終わった作品をカビや紫外線から守るために使います。

下はホルベイン社から販売されている水彩画専用のコート剤。
全てスプレータイプです。詳しくはメーカーのホームページやカタログを参照してください。

左..UVマット バーニッシュ <つや消し耐光ワニス>
中..UVグロス バーニッシュ <つやあり耐光ワニス>
右..水彩画 保護ワニス <防カビスプレー>


良い画材が無けりゃ・・

絵が描けない訳じゃない。ましてや上手な絵が描けるわけでもない。
そんな事は百も承知・・・でもちょっとしたこだわり、ささいな喜び。どうせ描くならお気に入りのものに囲まれていたい。そのぐらいの贅沢は許されるはず・・・ここは私のオモチャ箱

僭越ではありますが・・

ここでは水彩画の道具について初心者の方が見ても分かる様に説明しているつもりですが、私の個人の価値感、使用感ゆえにエキスパートの方々が見れば眉をひそめる様な記述が多々あるやも知れません。なんらかのご指摘・ご指導が御座いましたらこちらのほうへ。

結局のところ・・

安かろうが高かろうが自分にあったものを見つけるのが1番なのは言うまでもありません。でもそこにたどり着くには色々試してみなけりゃ分かりませんからね。コレって決めつけるのもつまらないし、気分次第であれこれ触ってみるのも楽しいのです♪